屋久島“つながる”リトリート・1日目 贈り物を受け取り、手渡してゆく「愛の循環」

先日 「屋久島つながるリトリート」と題して、初めて夫婦でホールドするリトリートを開催した。

自分自身とのつながり
家族とのつながり
仲間とのつながり
先祖とのつながり
まだ生まれていない未来の存在とのつながり 
内側と外側とのつながり
そして、地球 とのつながり。

つながりにはいくつものかたちがある。

その“つながり”を、体感的に、深遠な領域で探求することができた、かけがえのない時間だった。

今回の学びの軸となったのがNVC(非暴力コミュニケーション)。

“概念を直接知ることや、頭だけで理解するのではなく、NVCの伝えている「共感」や、「つながり」の質を、身体の奥深くで受けとることができる場をつくりたい。”

ずっとずっと願っていたことを、3日間をともに暮らすリトリートという形で、夫と共にホールドするということで、ついに実現することができた。

豊かで多様な、古来の植生を含めている屋久島。人を許し、受け入れ、共に在る。あまりにもおおきくてやさしい懐。そう感じる特別な場所で、学びあい、暮らした。

うつくしい瞬間がほんとうにたくさんあった。

どれもそのまま切り取ることはできないのだけれど、こうして記しておくことで、あの時間が確かに存在していたんだ。 織物の続きを、いまもわたしたちは編んでいるのだ。ということが、わたしと仲間たちの希望の灯となり、前に進むためのギフトになったらいいなぁ。という思いで紡いでいる。

わたしたちの旅路の1日目は、「何がわたしをここに連れてきたのだろう」という問いを置き、ひとりひとりが語る、豊かなチェックインからはじまった。

そしてこの場で大切にしたいことを伝え
「コミュニティで学び、共に暮らしていくのに、なにか質問やリクエストがあれば、いつでもどうぞ」の言葉に

「自分のリクエストが みんなのためにならないということが分かっている時にはどうすればいいですか?」

という質問が、ある参加者から置かれる。

例えばどんなこと?と聞くと、実はさっき、手作り納豆の発酵器のスイッチが故障してしまったのか入らず、ずっとそのことが気になっている…と。みんなの学びを尊重したい。けれど、自分はそのことが気になり、集中することができないのだ、と。

話してくれた彼女へ共感の推測をする。彼女にとって、どんなことが大切なのか。

『コミュニティに、納豆を通して貢献したいのかな。』

『納豆という“いのち”がとても大切なのかな。』

納豆くらい…と思うだろうか。
けれど、わたしの計り知れない領域で、彼女が納豆や菌の力に魅了されていることは、はじまる前に聞いていた。(絶対に、そこには、彼女の大切な価値観がある)きっと、私以上にそう思ったであろう夫が、彼女に共感を贈った。

すると、彼女から涙が溢れた。

自分の命に大切に触れられる体験。

コミュニティに大切にされる感覚。

NVCで言われるニーズ(大切にしていること)は、すべての人にとって普遍的なものだ。

そして、輪をつくってここに存在しているわたしたちは、一人ひとりが大切なコミュニティの一員であり、コミュニティとは、ひとつの生き物である。

あなたは、コミュニティ全体の、“大切な”一部である。

あなたが満たされない。ということは、わたしも満たされないのだ。

そこから一気に場が深まっていった。
 

NVCの前提となるものを夫がシェアしながら、私は輪のなかで聴こえてくるあらゆる人の内なる声に意識を向けていた。

ひとりの人がこんな声を置く。

「自分の中に思いやりの気持ちを感じるときもあれば、偽善じゃん。って、嫌悪感を抱く瞬間もある。人はほんとうに誰かのために動くことができるのだろうか」

人は不完全で無知で愚かな存在だと思うのか。

それとも、人の本質は思いやりであり、与えることが好きなのだと思うのか。

どちらの見方も、わたしたちは選ぶことができる。

ただ、わたしたちはあまりにもたくさんの痛みを抱えている。

子どものころ、そして社会で生きるなかで、たくさん、たくさん、傷ついてきた。
もうこれ以上傷ついたら生きていけないかもしれない。
わたしは人を、世界を、信頼しない。自分を守るために。
どこかでそう決めた人は、きっとたくさんいるだろう。

人の愚かさを許せない自分。

でもほんとうは人や世界を信じたい自分。

どちらも自分自身のなかにあり、行ったり来たりを繰り返す。

1日目の最後に

「わたしは、世界を信頼したくて。人は、優しさと愛をベースとした世界をつくることができるんだということを 信じたくて。そのために、屋久島にきたんだ。この体験をするためだったんだ。」

と、溢れる涙とともに話してくれた人がいた。ほんとうにうれしかった。贈り物だった。

これまでたくさんの愛と知性と理解を、
NVCコミュニティから与えられ、受け取ってきたと思う。
このリトリートを経て、そのことにあらためて、敬意を持ったし、感謝をした。

わたしたちは、自分が受け取っている愛と理解と同程度の愛を与えることができる。と、NVCの創始者マーシャルが言っていた。

わたしに注がれた愛を、今度はわたしが手渡すことができますように。

愛の循環のなかに生きられますように。

願いを心に秘めて、1日目を終えた。

この記事を書いた人

Sakiko
Sakiko
ひとつまみの希望 主宰 oiwai.life

1990年、鹿児島・薩摩川内市生まれ。高校卒業後、リラクゼーションサロンに勤務。ボディケアを提供するなかで「こんなにも多くの人が疲れているのはなぜだろう?」「人の根源的な癒しは、どうやったら起こるのだろう?」という問いを抱く。

6年間勤めた後「食・暮らし・コミュニティ・社会のシステム」が人に与える影響の探求をはじめ、「人と人とのつながりを大切にする対話法・NVC(非暴力コミュニケーション)」と出会う。
その学びの中で、先住民の叡智をくんだ「 “女性のための集い”・ウーマンズサークル」で起きた癒しとエンパワーに可能性を感じ、霧島市でウーマンズサークルをひらく。

学びの活動は夫婦で共にし、
1週間規模のNVC合宿にも複数携わる。その他、食や暮らしにまつわるワークショップを主催している。

現在、霧島・小浜にある古民家を改修し、「星の家」と名付け、ワークショップの企画や、対話の場、NVCのワークショップを開催している。


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