“共感”が大切な理由

ようこそ。

ぼくたちが学んでいるNVCでは、「共感」をとても大切にしている。「共感」が持っているパワーや可能性は膨大だ。

その中でも、自分の中に新たに紡がれている「共感」の見方がある。

それは、共感が大事、共感を受けると嬉しい、という以上に、「その人が語れるスペースができる」ということ。

そのために重要なのは、聴いている人が、自分がどう感じているか、話されたことをどれくらい覚えているか、ということよりも、話し手にとって「ただ聴いてくれるあり方」でいることで、自分の中にあるまだつかめていない“なにか”を言葉にすることを勇気づけ、力づけること。

同時に、自分や相手への誠実さから、ただ身勝手な語りで終わらないような力がはたらく器の中で語れることも大きい。人は、自分が語った物語の中で生きていくからだ。

そうして、自分の中にあるなんとも嫌な感覚や、もやもやした感覚が、それは本当にはなんだったのかが見えてくる。自分がどんな状態なのか、どんなストーリーを生きているのかも認識できてくる。

さらに、「共感」では、相手が共感の言葉をかけてくれる。相手という、自分とは異なる“感覚体系”から発される言葉は、自分の感覚を言い当てていたり、同感される感じに素直に喜びがあるとともに、自分の視点からは出てこなかった言葉、自分の言語体系からは出てこなかった言葉が届いてきて、「自分の状況や状態について語る別のストーリー」を得ることができる。

もし、今の自分を取り巻く現実に苦しめられている、というときにも、その「揺るぎない」と思っている現実を、そう思わしめている“支配的なストーリー”とは異なるオルタナティブなストーリーを得ることで、異なるストーリーの中で生きる可能性をもたらしてくれる。

この見方は、別の学び “ナラティブ・アプローチ” の発見のひとつ。

「共感」をするというのは、共感の癒やしやエンパワーを提供できるとともに、語り手を苦しめているストーリーから別のストーリーへと移る契機にもなる。

だから、共感の時間は大切なんだ。

また会いましょう。

樹々が生命を紡いできたことにいつも圧倒される。

この記事を書いた人

Seita
Seita
システムファシリテーター
株式会社musuhi 取締役COO / Chief Dialogue Officer
ひとつまみの希望 主宰
世界と変わるコトバ研究所(NVC インテグラル理論 U理論 つながりを取り戻すワーク システム理論 等を統合的に扱い「私から、世界と変わる」ための研究・実践活動)


東京生まれ。大学時代から環境問題に取り組み、社会人時代に15年続く環境NPOの代表理事を拝命。2011年に鹿児島に移住、対話・ファシリテーションを鹿児島のまちづくり・地域コミュニティの文脈に導入する事業に参画。2017年4月に合同会社むすひを共同創業、「対話を核に組織が文化から変容していく」組織変革プログラムを仲間と運用。現在は「協働の質を高め、チーム・組織の中での対立も扱えるコミュニケーション:NVC」のオンラインスクール・コミュニティ事業や、第一人者たちと日本での展開に取り組む。


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