大事なことに取り組み、“変化になる”ということ(元Google2人の時間術の本の実践と気づき)

ようこそ。

どうしてもその日のうちに仕上げたいことがある日、私は「外部からの連絡が届きうる入り口」を見ないようにします。

少しの申し訳なさもあるけれど、自分が本当に大事だと思っていること、

それは自分のことだったり、

誰かと共にすることだったり、

「本当に大事なことをちゃんと仕上げていく」ことは、より大きな意味で、「返事をすぐにする」こと以上に、

自分や、繋がる人のためになると思っているからです。

「通知があって、連絡を見て、考えて、返信をして」という、日常の中にごくありふれた事柄ですが、

元々は、「誰かが来て、話を聞いて、答えて」というのは、日常の中でもっとゆっくりと、量としても少なく、起きていたはずの事柄です。

今ほどたくさんの刺激を受け取り、反応的に物事を考え、行動を迫られているような感覚を持ち、対処するようになったのは、本当にここ10年少しぐらいの事ではないでしょうか。

日常の中の慣れきった事柄ですが、「刺激を受け取り、読んで、考えて、対応して」というのは、

一定の思考力・意思決定力・行動のためのエネルギーを使っています。

しかも、返信をして、その後どんな返信がくるかを想像したり、待ったり、それをまた見て考えて対応して、というのが続くと、相当な量のリソースを必要とします。

自分がここ数年、もしかしたら10年ほど、

「なんだか全部が終わらない感じ」

「いくらやっても、凄く頑張っているのに、大事なことが終わりきらない」

「締め切りに間に合わない」

「何とか間に合わせているけれども、願ったようなものにはなっていない」

という感覚をずっと持ち続けているような気がしていたのは、この辺りに起因しているような発見を、最近はしています。

通知が来たら、律儀に確認をして、考えて、返信をする。

そしてそれはなるべく早い方がいいはずだ、という見方に基づいて一生懸命毎日過ごしていた。

結果として、ものすごくエネルギーを使い、疲れて、

しかも、より重要な、長期的な物事の見方や、長期的に完成させていくような大事なプロジェクトに割けるエネルギーが減っていて、

場当たり的な対応になっていたように思います。

この辺りの見方に、目を開かせてくれたのは、元グーグルの2人が書いたこちらの本。

時間術大全 人生が本当に変わる「87の時間ワザ」 | ジェイク・ナップ, ジョン・ゼラツキー, 櫻井 祐子

その中で、「ハイライト・レーザー・チャージ」という、三つの見方を提案してくれている。

ハイライト:今、一番大事なことはなにか?

ハイライトは、今日1日の中で、あるいは今この瞬間で、何が一番大事か。

自分が限られた時間とエネルギーを注ぐのであれば、その「一番大事なこと」に注ぎたいはず。

それが、今のように通知がバンバン届いたり、いつでも誰かから連絡がくる状態の中にいると、その大事なことに向かう以上に、「連絡が来たら対応しなきゃ」と優先していることがすごくたくさんある。

そうではなく、「何が一番大事か」というハイライトに焦点を合わせ続けるという意識付けのことを、彼らは“ハイライト”と呼んでいる。

レーザー:“ハイライト”に高い集中を向け続ける

レーザーは、ハイライトとして選んだ事柄に、レーザーのような、「まっすぐそこにだけ向けられる質の高い集中」を向けること。

「レーザー」は、“光の位相が揃っている”状態で、光の強さが大きく、ものすごく遠くまで光が届くことになる。

数十ワットの電球は宇宙から見えないが、数十ワットのレーザーなら、宇宙から目視できるそうだ。

同じ量のエネルギーなら、散漫に広がるエネルギーよりも、位相の揃った(“コヒーレント”という)強力なエネルギーとして注ぐ方が、より願う結果につながる。

“ハイライトとして選んだもの”に、“レーザーのように集中と時間とエネルギーを注ごう”というもの。

チャージ:回復や、消耗を小さくする工夫

そして、チャージ。

ハイライトを選び、レーザーのようにそこに向かい続けたとして、意志力、精神力、身体的にも、エネルギーは消耗していく。

1日に使えるエネルギーには、やはり限りがある。

けれど、その使い方や、回復のさせ方はかなり工夫の余地があるので、ハイライトにレーザーを向けていきながら、1日の中でも回復したり、消耗を小さくする工夫をしていこうというのが、チャージだ。

この中には、瞑想などのセルフケアや、緑茶などカフェインの効果的な活用の仕方などが含まれる。

この三つを合わせて、「自分にとって本当に大事なことを、確実に毎日進めていこう」というのがこの本の提案。

このための、ハイライト、レーザー、チャージ。

それぞれの具体的な手段がそれぞれ挙げられていて、全部で87の方法が提案されている。

例えば、通知で邪魔をしないスマホ。

通知音が鳴らない設定にしておくことや、SNSをすぐに開けない状態にしておく、もっと貫く場合には、スマホにSNSを入れない。

それによって、自分がどの瞬間にも本当に大事にしたいことに時間とエネルギーを注ぎつづけられるようにするというもの。

1日の中でSNS等の連絡を見る時間を、ごく一部に限るというような方法だ。

これは、一緒に仕事をする人にとっては、すぐに答えてもらえないということがあるかもしれないが、一緒に仕事をする人が沢山いる場合、どの人の連絡にもすぐに答えようとしていると、本当に大事にしたいことに注げるエネルギーが随分と小さくなってしまう。

それは結果として、一緒に仕事をしている人のために、本当の意味ではなっていないということでもあると思う。

「自分は重要なプロジェクトいくつも持っているため、すぐに答えられないこともあると思うけれど、定期的に連絡は見るようにしているので、そこに送っておいてほしい。急ぎの連絡の場合には電話をしてほしい」という、連絡対応の“期待値の調整”をすることも大事だと語られている。

より詳しくは、ぜひ本を読んでもらいたいが、自分の時間の使い方、何に時間とエネルギーを注ぐかという意識付けに、とてもとても役に立っている考え方・見方です。

自分のことだけでなく、組織にも、より大きくも応用できる見方

そしてこのことは、「自分の時間をどう使うか」だけでなく、「限りあるものを運用する」という場合には応用できる考えだと思っています。

例えば、とある目的を共有しているチームや組織において。

そこでもやはり、時間とエネルギーはかぎられていて、やろうと思ったらいくらでもやれることがある中で、どこに焦点を向け続けるのか(ハイライト)。

そこに時間とエネルギーを注ぎ続けるために、「レーザー」というレベルで組織として向かうためにはどんなことができるか。おそらくそこには、人と人との間の足の引っ張り合いや、誰かを痛めつけるためだけの働きかけはないはず。

そして、ただただやり続けるだけでは持続可能ではないため、「チャージ」の要素も含めて、長期的に目的に向かい続けられる組織を目指すことになる。

より大きくは、僕にとっては、今のこの地球全体のことにも向けられると思っている。

限られた時間とエネルギーをどこに注ぐのか。

短期的に必要そうなことはいくつもあって、それに、すべてに対応しようと思っていたら、それだけで時間とエネルギーは枯渇してしまう。

そうではなくて、長期的、それよりもさらに超長期的に、「七世代先までを見越すこと」が、地球で生きていく上では必要だと思うのだけれど、

それぐらいの目線で見た時に、何が大事なのか(ハイライト)。

そこに時間とエネルギーを、焦点を合わせて注ぎ続けるとはどういうことなのか(レーザー)。

そして、それを突き詰めてやり続けるだけでなく、人や、生き物や、生態系として持続可能であるためには、どのようにしていけばいいのか(チャージ)。

私達の日々にも応用できるし、僕にとっては「この地球の上でみんなでどうやって生きていくか」ということにも、この見方は応用できるように感じているのでした。

グレタさんも言うように(そしてそれは彼女が思っているだけのことではなくて、世界の科学の知恵を結集して見えていること)、

私たちが「つづけられる幸せな世界」の中で生きていくために残された時間は限られていて、

今までとは大きく異なる世界の営み方を織り上げていく必要があって、

それには相当なエネルギー量が必要だと思います。

だからそれをするには、レーザーのような高い集中のある注ぎ方が必要なのだと思います。

そして、私たちは1人だけではできないし、たくさんのことを感じながら生きる生き物です。

人と繋がること、感じたことを表現すること、そしてそれを聞いてもらえること。

そういったことも、「世界の中でのチャージ」として機能していくのではないかと思います。

こうして改めて書いてみると、自分がやりたいのは、「“つづけられる幸せな世界”のための、世界のハイライト・レーザー・チャージに貢献したい」ということなんだと気づきます。

これまで自分が関心を持ち、取り組み、高め続けてきたものも、そこに繋がると感じます。

そんな見方も持ちながら、これからの日々を取り組みたいと思います。

また会いましょう。

この記事を書いた人

Seita
Seita
システムファシリテーター
株式会社musuhi 取締役COO / Chief Dialogue Officer
ひとつまみの希望 主宰
世界と変わるコトバ研究所(NVC インテグラル理論 U理論 つながりを取り戻すワーク システム理論 等を統合的に扱い「私から、世界と変わる」ための研究・実践活動)


東京生まれ。大学時代から環境問題に取り組み、社会人時代に15年続く環境NPOの代表理事を拝命。2011年に鹿児島に移住、対話・ファシリテーションを鹿児島のまちづくり・地域コミュニティの文脈に導入する事業に参画。2017年4月に合同会社むすひを共同創業、「対話を核に組織が文化から変容していく」組織変革プログラムを仲間と運用。現在は「協働の質を高め、チーム・組織の中での対立も扱えるコミュニケーション:NVC」のオンラインスクール・コミュニティ事業や、第一人者たちと日本での展開に取り組む。


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