きっと何人もの人が書いている「鹿児島SDGsスタートアップフォーラム」。
約100人の招待制の機会に、ありがたく参加させてもらいました。参加できて、本当に良かった。
SDGsとは
「SDGs(エスディージーズと読む)」というのは、
“S”ustainable
“D”evelopment
“G”oal”s”
(持続可能な開発目標)の略称。
「“世界のほとんどの地域を網羅する193か国”が加盟する国連で、
“そのすべての国”が合意した、
2030年までに達成する目標」のこと。
(国連に加盟していない国はヴァチカン市国、クック諸島、ニウエ、コソボ共和国の4カ国なので、それ以外の「世界が合意した目標」ともいえる。少し乱暴だけど。)
そう、
「地球温暖化と気候変動は確かに起こっていて、
このままの生活・社会運用はいつまでも続かない」
という、
世界の科学者95%が合意する見通しに基づき、
「地球温暖化・気候変動なんて、地球規模であまりに複雑で、
すでに大量のCO2を排出し、これから先も排出が続く社会が
すでにできてしまっていて、
今までいろんな取り組みをしても状況を変えるのは難しかったんだけど、
それを力技でも変えていかないと、
そもそもその社会自体が、物理的に、崩壊してしまう。
だから、まずは2030年までにここまで、絶対やろう。」
と立てられた目標のこと。
何度か声に出して読んでみるとじわじわ実感が湧いてくるんだけど、「本当に差し迫って、世界全体が合意した目標」。
「そんなでかい目標のために、いったいなにから始めたらいいの?」という問いに、世界の叡智が連携して2015年9月(もう今から4年近くも前)に言語化して合意できたのが、
SDGsの
17の目標
169のターゲット
232の指標
「持続可能な開発」(続けられる世界)をつくるために必要な、
“取り組みたい分野”を【17】に分けて、
17の分野それぞれについて、約10ずつの“具体的な目標”を設定、【169】
その目標が達成できたか、数値で測るための1〜複数個の指標を設定している。【232】
「続けられる世界をつくろう!」と言うだけでは、とりかかる事柄が大きすぎるため、
重要な分野に分け、【17】
その分野でなにができていたら「続けられる世界」につながるか、重要な項目を決めて取り組む。【169】
取り組んだはいいけど、効果は出ているのかな?を確認するために「この数値を確認しよう!」という指標を決めた。【232】
世界という、地球という、ぼくたちが扱うにはあまりに巨大で複雑な“システム”に取り組むために、
それを、一部の人だけでなく、“全員が”なるたけ明確に合意し、現状を共有しながら、取り組んでいけるために、
これだけの言語化が必要だった、ということなんだと思う。
SDGs解説をしてみたけど、どうだろう。自分の中でもかなりSDGsというものが腹落ちした。
挑戦的な目標(ストレッチゴール)を先に決め、そこからバックキャストする
そしてもう一つ重要なのが、この目標設定が、
「どうやって達成すればいいか、そのための方法がまだわかっていないくらい、高い目標設定になっている」
ということ。
それは、無責任にそうしたんじゃなくて、
それくらいの設定でないと、
「続けられる世界」にはならないことがわかっているから。
「続けられる世界になるにはこれくらいの状態が必要だ」という、
ゴール設定が先で、そこから逆算して方法を考えていく。
その計画の立て方を「バックキャスト」と言うんだけど、その方が、“現状の外”の挑戦を誘う。
そして、そうでなければ、低い達成に終わってしまう。
そのための、
「どうやって達成するかはまだわからない。
でも、この水準に決める。」
という目標設定。
そんな、SDGs。
控えめに言っても、「すんんんんんごいこと」だと思う。
この目標を設定するために、この目標を合意するために、奔走した数多の人たちに、おっきな感謝を送りたい。
その、
ぼくたちの生命を賭けた、
ぼくたちの子供たちの生命を賭けた、
世界の無数の生物の生命を賭けた、
人類だからできることへの挑戦。
これまでにも数え切れない人たちがさまざまな形で挑戦してきたことを、
より、統合的に、人類の総力戦としてやっていこうという、
その始まりが、SDGsなんだと思ってる。
日本政府が共有してくれてるSDGsのWEBサイトはこちら。
http://www.soumu.go.jp/…/index/k…/02toukatsu01_04000212.html
手触りを持つのに、「“17-169-232”の全部が、日本語でひとつのファイルに揃っている」こちらのPDFがおすすめ。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000562264.pdf
昨日の「鹿児島SDGsスタートアップフォーラム」に参加し体感したことのおかげで、ここまで腹落ちした。本当に感謝。
感想や、どんな機会だったか、いろんな人が書いてると思う。
こちらのタグから見れるんじゃないかな!うねりが起き始めてます、ぜひ。
#鹿児島SDGs
ここから感想!
私が一番印象に残っているのは、やはり「2030SDGs」というカードゲーム。
こんなに血湧き肉踊ったのは久しぶりの体験だった。
ゲームについて超簡単に紹介すると、
「SDGsという、
超重要なんだけど、
コトがでかくて複雑すぎて、腹落ちするのが超難しいコンセプトを、
ついつい熱くなってやってるうちに、終わったときには
『これが世界で起きていることか・・・!』と激腹落ちしている、
超作り込まれた超すごいカードゲーム」
のこと。
体験してもらうのが一番だけど、なんとか説明するために“超”に頼った(笑)
詳しくはこちらから!
https://imacocollabo.or.jp/games/2030sdgs/
「俺たちは世界を変えられる!!!!!」
ゲームの中だけど、世界がひとつになり、実行が難しいプロジェクトが、様々な主体の情報と協力によって実行されるに至った。
あの瞬間はすごかった。
こういう、
チームに分かれて、他のチームとも協力したり、交渉したりしながら、
裏テーマでもある“全体の利益”を高めていく、といったゲームは以前にもやったことがあったけど、
他のチームに交渉を仕掛けに行くことも難しかったり、気後れしてしまうことが多かった。
けれど、今回はその中でフル稼働している自分がいた。
それには、ベースとして、ぼくのチームメンバーがなんと戦友・ 永山 由高 (Yoshitaka Nagayama)さんと、こちらもなんと、「サハラ砂漠273kmを走るウルトラランナー」“ Pon岩元 Ponちゃん”という最強チームだったこと。(超楽しかった!ありがとう!!)
そして、SDGsの文脈、
気候変動によって気象が変わり、異常気象で被害が生まれ、作物も大きな影響を受けていて、といった現実を目にしている中で、
世界は私たちが思っている以上に深刻な状況に歩を進めているということを、
特に5月の地球の声を聴くワークショップで、
カリフォルニア統合学研究所教授のショーンから聞いた「“終末”を生きる」というプレゼンテーションがタイムリーに響いていることもあって、腹に落ちていたから。
(ショーンのプレゼン動画はこちらから観れます)
http://listening-to-gaia.strikingly.com/bl…/integral-ecology
本当に今、
私達ひとりひとりが、だし、
これまで繋がってこなかったような人とも繋がって取り組んでいくことを始めるかどうかで、
現われ得る未来のシナリオの幅がぐんと小さくなり、
子供達の世代に残せる世界の可能性が狭まってしまうことが腹に落ちていて、
日々日々、自分の選択や行動の世界へのインパクトを意識していることもあって。
それは普段であれば、
届かないように感じる遠い世界のことであったり、
他にどんな主体がいるのか、その人達が何を目指していて、何を持っていて、何をやろうとしているかがわからない状態で、
届くかも分からない働きかけを続けるような感覚。
けれど、ゲームの中では、
世界の状況を左右する主体が全て目に見えていて、
その人達が何を目指し、何を持っていて、これから何をしようとしているのかが見えていた。
話しかけようと思えば話しかけられるし、
「ちょっと待った!」と言いたいときにはそれを伝えて相手に話を聞いてもらうよう訴えかけることができた。
世界への貢献をしたい気持ちを強く強く持って、でもそれを十分にはできていないように感じる日常をすごす中、
こんなにも、状況が把握できて、働きかけができるというのは、
なんとも命が生き生きする時間だった。
ゲームの残り時間が迫る中、
世界に大きなプラスの影響をもたらすプロジェクトを実施でき得る主体を見つけ、
その人達に足りていないリソースを世界を駆けまわって呼びかけ、集め、
最後の足りないお金を、
世界の現状を気にすることなく、自分たちの資金集めを追求し続けたチーム(彼らはあえてその役割をしてくれていたんだけど)に交渉を重ねて、
最後のリソースを揃えることができ、
そのプロジェクトがついに実行された時、
大きな拍手が起こり、
世界は一つになっていた。

実際の世界では、こんなに簡単に運ばないんだと分かっていても、本当に嬉しい瞬間だった。
自分にも、現実世界でもこんなことができるかもしれない。
そんな希望を持たせてくれた。
ゲームの振り返りで「自分たちのチームの目標が満たされた後、初めて、世界全体に目が向いた」という言葉があった。
日常の中でもそれはごく普通な感覚かもしれない。
当然ながら、
世界はここに書いたようにこんなにシンプルではないし、
それぞれの主体が目指しているものも一つではなく、
それが到達できたかどうか判断することも難しく、
到達したと思えばまた高い目標を設定する。
繰り返されていく、
幾らでも高くなっていく、
それぞれの目標を追い続けていたら、
世界全体に目を向けることなんてできない、そんな気付きもある。
このゲームで、
それぞれのチームが、自分達のチームの目標から世界全体の状況へと焦点を変えることは出来たのは、
「世界の状況というインジケーター(指標)」をみな共通に見ることができ、その尺度がまた皆共通であったということ。

同じ数値であっても、その水準が、
ある人にとっては低く、
ある人にとっては十分高いといったように、
尺度が違ってしまうと共通の目標を目指すことは難しい。
そのための、SDGsの
17の目標、
169のターゲット、
232の指標。
ゲームの中での「今、世界はこんな状況で、持続可能という尺度からみてそれはどれくらい望ましいものか」という判断基準が、
2019年の現実世界でのSDGs。
「地球温暖化が進んで、気候変動が起きていること」を、
世界の95%の科学者が支持している。
ここはもう、
その人生を学びと研究にかけた無数の科学者の努力と誠実さと、
彼らを支える大学や研究所、
そこに私たちの税金や経済も支えとして入っていて、
そして、研究され、発表された学説を科学的な知見として信頼する、私たちの社会文化も含めて、その総体を信じ、
このSDGsという、
国連加盟国全体≒世界全体が、
「これが“世界を続けられるか”の判断基準だ」
と合意した見方を、
私たちひとりひとりも合意し、おおまかでも理解し、
もちろんそれに盲目になってただやればいいと思うのではない形で、
ひとりひとりが考え行動し、
今を変え続けて、
未来を、予測されうる最悪のものよりも少しでも良くし続けていこうよ。
そのための一歩一歩が世界中で踏まれている中、
鹿児島でも、昨日、大きな一歩が踏み出されたのだと思っています。
今回の「2030SDGs」というカードゲームの開発者であり、
昨日の場のファシリテートをしてくださったむらさん・いなさん。
今やご自身ではカードゲームの進行をすることはほとんどないという中、鹿児島で場を持ってくださり、本当にありがとうございました。
普段のカードゲームの場では話さない、取り組まないワークも含め、もたらしてくださったことで、100人もの人々の中に、
それぞれの気づきの形がありながら、深いところでは繋がった大きな気づきと変容が生まれていたのではないかと思います。
「練りに練られた、世界の必要を託したカードゲーム」という形の時空間体験を分かち合うことで、
対話の場が起こせる気づきと変容の、自分の想像以上の次元を見せてもらったように感じています。
深く、感謝しています。
そして、この場のビジョンを描き、強く意図を持ち続けてくれた、主催団体・SELF(薩摩リーダーシップフォーラム Satsuma Emergent Leadership Forum)の皆さん、
そしてその中心となって2年半もの間ビジョンを抱き続け、育て続けた友、野崎 恭平 (Kyohei Nozaki)にこれ以上無いくらいの最大級の賛辞と感謝を送りたい。
本当に、ありがとうございました。
そして、ここから。
あらゆる「不可能」「無理」「難しさ」を、
時に耐え、時に軽々と乗り越えながら、進んでいきましょう。
(グラフィックは敬愛する 関 美穂子 (Mihoko Seki) せきちゃん!本当に一日中、懇親会の間もずっと、大量のインプットをその豊かで柔らかで知性ある感受性と響き合わせたアウトプット、ありがとう!!!世界の財産だ。)
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この記事を書いた人

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システムファシリテーター
株式会社musuhi 取締役COO / Chief Dialogue Officer
ひとつまみの希望 主宰
世界と変わるコトバ研究所(NVC インテグラル理論 U理論 つながりを取り戻すワーク システム理論 等を統合的に扱い「私から、世界と変わる」ための研究・実践活動)
東京生まれ。大学時代から環境問題に取り組み、社会人時代に15年続く環境NPOの代表理事を拝命。2011年に鹿児島に移住、対話・ファシリテーションを鹿児島のまちづくり・地域コミュニティの文脈に導入する事業に参画。2017年4月に合同会社むすひを共同創業、「対話を核に組織が文化から変容していく」組織変革プログラムを仲間と運用。現在は「協働の質を高め、チーム・組織の中での対立も扱えるコミュニケーション:NVC」のオンラインスクール・コミュニティ事業や、第一人者たちと日本での展開に取り組む。
*少し詳しい自己紹介はこちらから。
*これまでに書いた記事の一覧はこちらから。
*妻・Sakikoの記事一覧はこちらからどうぞ!
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