“広島で、1週間・50人の合宿、「ソーシャル・ジャスティス」×NVCをテーマに”を終えて

会う人には話していた「広島で1週間の合宿なんです」が終わりました。
前後の準備・振り返り・高熱出して寝込むを含め、実に2週間の滞在。長かった。

今回の合宿は、テーマに沿った内容自体、
社会的な広さと複雑さと解像度の高さ、
そこに紐づく内面的な深さがあって、
その学びを身に落とそうとするだけでもたくさんのエネルギーが必要でした。

同時に、運営の中心を担っていたため、こんなことが自分やコミュニティがホールドする範疇のことでした。

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  • 50人の人が7泊8日一緒に過ごす
  • そこに子供(6名、2歳〜10歳)を含める
  • 食事の細かな要望を反映させる
  • トレーナーが英語を話す人達で、参加者の中にも英語を話す人達がいる
  • 全体で話すときには小さなことでも通訳が必要で、時間が2倍近くかかる
  • 規定の参加費はありながら、かなり流動的なスカラシップの仕組みを試みた
  • その流動的に変動するお金の余剰分から、運営チームやトレーナーのフィーを拠出する仕組みも試みた
  • 写真の撮影や録音など、運営側で決めたルールに従ってもらうという形ではなく、その場にいる人達の大切にしていることをテーブルに出しあう中で、全員が最大限満たされる方法を見出そうとし続ける

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まだあると思うけど、

本当に「1人1人の大切なこと、必要としていることを出来るだけ尊重するための運営」をする中で、

本当にたくさんの“決めること”と“決めたことの実行”があり、

それはそれは膨大なエネルギーを必要とする運営でした。

運営側だけで決めるのでなく、コミュニティ全体として決めること。
決めたことを、これを運営側だけでやるのでなく、コミュニティ全体として実行すること。
そしてやってみて願うほどの結果が出なければ修正をかけること。

その中に、今回のテーマである「ソーシャル・ジャスティス」(すべての人が大切にされるような公平さ・公正さの探求と実践)を織り込みながら。

それが今回の、大きなチャレンジの一つでした。

「そんな七面倒くさいことをわざわざしなくてもいいのに」と思われるかもしれません。

なぜそんなことをやっているのかと思うと、これは、

これまでの経済や社会のあり方がつくってきた“今という時点”に、望んでいるよりも満足できていない、自分や共鳴した人達による一つの実験なのだと思っています。

今のやり方よりももっと、関係する1人ひとりが尊重され、満たされる方法があるかもしれない。

それを探るための試みだと思っています。
その見方からの発見がいくつもありました。

その中の一つとして、当たり前かもしれないけど、
“決めること”一つとっても、そこにはエネルギーがかかるから、
“決める必要があることを生み出さないこと”、
“考えなくてもいいことは考えないこと”が、
コミュニティを持続可能にしたり、携わる人達の負担を軽減したりすると思います。

ただ、それを突き詰めていくと、

“大半の人が良いと思う基準”を、
それ以外の可能性を考慮せずに、「これが決まりだから」と置いて、
“多くの人は一定の満足があるけれど、その基準が合わない人は著しく満たされない”

ことが起こりうるのだと思います。

そのとき、“基準が合わない人が除外される”ということと共に、
“コミュニティに多様性が反映されない”ことで、
“その多様性を含んでいたら生まれ得た発見や創造性を、気づくことなく失っている”可能性もあります。

“多様性を含むことで生まれ得る発見や創造性”の中に、
より願うような社会システムへと遷移するエッセンスの一つがあると思っているので、
このことを大切だと思っています。

今回のような試みは、
“すべての人を尊重し、含むために、やれうる限りのことをやってみる”ことで、
“何がそのためにうまく働くのか?”
“やってみたけれど、思ったほど上手く働かないことはどんなことか?”
を知っていくプロセスでもあるように思います。

そこで養われた見方や、実践の経験が、
次に人々と何かをやろうとする時に、
それを生かして、より1人1人を満たし、
結果として、生まれうる創造性を高めることに繋がる。

そんな資質を、今回の機会では育むことができたのだと思っています。
育むことができた、沢山の沢山のことの中の一つとして。

ようやく鹿児島に帰ってきてくたびれて、床につこうと思う前に、
ともすればこぼれ落ちていくであろう、今自分の中にあるものを、言葉にしてみました。

一緒に運営した仲間たち、コミュニティの仲間たち、
自然があり、柔軟で尊重のある素晴らしい施設のみなさま、
この場には来ていなかったけど、様々な形でこの試みに“参加”してくださった方々、
留守の間、サポートしてくださった方々、長期の不在を尊重して受け止めてくださった方々、
全部に感謝を込めて。

(9月に制作した合宿のWEBサイト、エッセンスを込めています、よかったら)
Nonviolent Leadership Retreat for SOCIAL JUSTICE
https://social-justice.live/

この記事を書いた人

Seita
Seita
システムファシリテーター
株式会社musuhi 取締役COO / Chief Dialogue Officer
ひとつまみの希望 主宰
世界と変わるコトバ研究所(NVC インテグラル理論 U理論 つながりを取り戻すワーク システム理論 等を統合的に扱い「私から、世界と変わる」ための研究・実践活動)


東京生まれ。大学時代から環境問題に取り組み、社会人時代に15年続く環境NPOの代表理事を拝命。2011年に鹿児島に移住、対話・ファシリテーションを鹿児島のまちづくり・地域コミュニティの文脈に導入する事業に参画。2017年4月に合同会社むすひを共同創業、「対話を核に組織が文化から変容していく」組織変革プログラムを仲間と運用。現在は「協働の質を高め、チーム・組織の中での対立も扱えるコミュニケーション:NVC」のオンラインスクール・コミュニティ事業や、第一人者たちと日本での展開に取り組む。


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